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1. Social Media

2009年に何が起きたか?

ジャーナリストの林信行さんは「iT革命」と述べた。これはiPhoneとTwitterがシンクロしながら日本で普及したことからも明らかである。ポイントは、思考、デザイン、ビジネス、学習といった生活の全てが「モバイル」と「ソーシャル」に向かうMobile Socialにある。

1.1. TwitterでのMobile活用

参考までに、私のTwitter(@taromatsumura)利用状況を取り上げたい

  • 200000:フォロワー数
  • 45:1日の投稿数
  • 5000+:投稿したリンクのクリック数
  • Lifelog:生活記録としてこれらの情報を誰でも自由に振り返ることができる
  • 8対2:投稿のiPhone対Mac比率

これらの数字から、Mobileの活用は生活の何かを犠牲にすることなく、Twitter上でのアクティビティ導入に貢献していることが明らかである。つまりMobile Socialの特徴は、今までの生活を変えることなくAdd-onできることにあるのではないかと考えている。

1.2. ビジネスでのTwitter活用

いくつかの具体的な例およびキーワードを挙げながら説明をしていく。

  • Google Buzz http://www.google.com/buzz
    「ブラウジングと検索の時代は終わった」その言葉を象徴するように、Gmailがソーシャル機能を搭載した。知っている誰かに教われるというのがソーシャルな在り方であり、これによって人々は、情報を自分が構築したネットワークから習得するようになった。
  • UCC
    Twitterマーケティング史上初の炎上が起きたが、その後の対処をソーシャルメディアの中で、2時間で中止、4時間で謝罪文の発表、1週間後にワークショップを実施するというスピードで対応したため、炎上後の高感度が高い。ソーシャルメディアでは、企業もその中の個人や空気との対話が必要であることが明らかとなった。
  • ウェザーニュース SOLiVE24
    気象庁もサジを投げたゲリラ豪雨の予測に成功するという成果を、ソーシャルメディアによって収めた。これは、有料会員のユーザをソーシャルメディア化し、「空見のセミプロ」に育てあげた結果によるものであった。平日の深夜に毎晩行われる2時間の生放送中、石橋取締役がユーザとのチャットで対話を続けているのも特筆すべき点である。
  • @masason
    ソフトバンクの孫社長は、Twitterの中でユーザからの意見聴取をオープンにし、ソーシャルカンパニー感を演出した。企業内のコミュニケーションが公の場に持ち出され、顧客サポートや関係づくりとミックスして展開されることで、単なるトップダウンではない、ソーシャルメディアからのボトムアップによる企業戦略が加速した。
  • Brands for Friends ローンチキャンペーン
    iPhoneケースを交通広告でサンプリングするという世界初の広告キャンペーンを自身で企画した。その模様をTwitterとUstreamで配信し、渇望感とバズ(口コミ)を2週間にわたって高めることで、会員登録数をあげる成果を収めた。つまり最近の企業PRは、広告とTVに依存する時代から、Media Activism(活動することが広告になるという考え方)に移りつつある。

1.3. Social Media活用の要素

ソーシャルメディアでの「活動」が企業をブランディングし、製品やサービスを洗練しながら「一緒につくる」という空気を作るためには、「長期間の関係づくり」と「素早いフィードバック」が課題となる。
では、具体的にどのようなことから始めればよいのだろうか。いくつか鍵となる仕組みを紹介する。

  • Google Trends
    現在検索エンジンでどのようなキーワードが調べられているのかがリアルタイムにわかる。関連ニュースやブログ記事のリストアップから、なぜそのキーワードが「バズっている」か、またその検索キーワードの検索傾向や人気度の推移なども調べることができる。
  • YouTube Insight for Audience
    YouTubeで視聴された動画について、どのようなコンテクストで見られたか、どのような経路でたどり着いたのか、その他にどのようなニーズがあるのかなど、統計的に知ることができる。そのため、次にどのようなコンテンツを作ればよいかを想定することができる。
  • Edelman Digital
    アメリカのPR会社Edelman DigitalのSteve Rubelは、ソーシャルメディア活用の要素として、「Stream」「Visibility」「Data Analyze」を挙げている。「常に流れ続けよう」「可視化しよう」「分析しよう」という3要素を満たすことで、ソーシャルメディアが成り立つのである。
    もうひとつ彼が指摘しているのは、「Digital Embassy」すなわち「ソーシャルメディア内に大使館を作り顧客との接点を作る」ということである。顧客と同じスピード、空気、目線に立たなければ、企業はソーシャルメディアの流れの中で可視化されず、ビジネス戦略に活用できる情報も得ることができない現状を示している。

1.4. Digital Classroomの実験的構築

ソーシャルメディアを利用して行う会話は汎用性が高いのではないかという視点から、リアルな授業と教室にTwitterを導入することで、実験的にDigital Classroomを構築した。これは、Twitterを授業のLMS(Learning Management System:学習管理システム)として機能させる試みであった。以下に詳細を示す。

対象 2009年に嘉悦大学で開かれた「情報メディア論」「情報共有システム論」「メディアビジネス論」の各授業
準備 約100名の学生と教員、授業用のTwitterアカウントを作成した
教員アカウントには授業アカウントに書き込みができる管理権限を与えた
授業アカウントと学生アカウントが相互にフォローし合うようにした
方法 出欠および課題は「@授業名」でつぶやくように指示をした
次週の課題+授業中のインタラクション3回の計4ポストを義務とした

1.5. Social Mediaの効用

Digital Classroomの導入後、ツイート(140文字以内のつぶやき)とレポートの関係を検討したところ、以下のような特徴が明らかになった。

  • Twitterでの課題提出や質問への回答と、最終レポートの点数に相関が見られた
  • これまでの「学生→教員」の一方通行の情報伝達から、「教室内共有」が可能となった
  • 学生が自分で投稿を振り返ることができるだけでなく、他の学生からの返信によって思考が磨かれていく

授業におけるTwitterの活用は、教室以外の場所で同じ時間に授業を展開することや、Ustreamを活用しての遠隔・分散授業を可能にすると考えている。「Address Free」「Context Free」「Experience Free」、この3つの要素が自由な学びをもたらし得ると期待している。

2. Mobile

では次に、モバイルの世界では何が起きているのだろうか。

2.1. スマートフォンが引き起こす変化

松村太郎 2007年に発売されたiPhoneのように、同時期に日米で同じ端末が普及するという、5年前は思いもよらなかったことが起きている。従来の携帯からスマートフォンへと使用端末が変化する中で、何が切り替わるのだろうか。

身の回りにある携帯を思い浮かべると、機能だけでなく見た目も多種多様であるのに対し、スマートフォンは外観がすべて同じである。けれども、個々人が機能をカスタマイズすることで、使う人によって中身のまったく違う端末ができあがる。つまり、進化がハードウェアからソフトウェアに変わったというのが重要である。Webのテクノロジーやソーシャルメディアをどんどん吸収しながらイノベーションしていくことが、スマートフォンによって切り替わる“何か”であると考えている。それによって、「食う・食われる」生態系から、「協調・持続する」生態系へと移行するであろう。

2.2. スマートフォンの活用

スマートフォンが必携ツールとなることで、何が変わるのだろうか。いくつか具体的な例を挙げてみたい。

ノマドワーク オフィスなどの場所や時間に縛られることなく自由に仕事をこなす新しいワークスタイル
大学キャンパスのインフラ 教職員および学生がスマートフォンで学ぶ
就職活動 時間勝負のセミナー予約もiPhoneで
iTunes/OpenCourseWare いつでもどこでも学ぶことができる

このような仕事や学び意外の場面でも、スマートフォンの活用次第で以下のように生活の楽しみ方が変わるだろう。

体験するブランド 単なるPRではなく、知れて楽しむPRへ
体験するテレビ番組 テレビ放送と連動して、街の中で番組コンテンツを楽しむ
新聞/雑誌記事の配信 紙が苦手なワカモノにとって朗報
雑誌の環境情報化 特集単位でほしい記事だけを購入し、GPSでお店までナビゲーションしてくれる雑誌の未来
屋内のアートイベントの
ナビゲーション+コンテンツ
会場内外で楽しめるTwitterで拡がるアプリ

位置情報、ソーシャルメディア、ゲームを組み合わせてローカル情報を掘り起こすことや、iPhone画面の中でコラボレーションが起きることによって新しい価値提供が可能になるなど、「in Your Pocket:サービスの生活密着」が進むと考えている。

2.3. Mobile Socialとは

これまでの事例を見てもわかる通り、Mobile MediaとSocial Mediaの同期は必然の流れである。では、MobileとSocialのトレンドが学びに流れ込むとどうなるのだろうか。以下のような点が考えられる。

  • 紙のノートは使わない
  • いつでもすきま時間に学ぶことができる
  • ソーシャルで知識を共有し拡張できる

MobileとSocialを掛け合わせたLearningの在り方として、我々はiUnivを提案したい。これは、世界中に散らばっている大学の授業をポケットの中に入れるiPhoneアプリである。OpenCourseWare、YouTube EDU、iTunesにある教育コンテンツを40000件以上も探し出すことが可能で、MobileとLearningの連携を試みている。ここにSocialな役割を加え得るのが、「FUSEN」という以下のような技術である。

  • 動画中の好きな箇所にメモを残す
  • もう1度読みたい場所にマークをつける
  • 動画学習の感想や疑問をノートに記す

このような機能を付けることで、たまった「FUSEN」によるコンテンツのダイジェスト化が可能になり、振り返ることが誘発されるだろう。iUnivをひとつのかたちとして、個々人が体験の掛け合わせを考えることで、今後、学びのソーシャルメディアが発展していくのではないかと期待している。

松村太郎

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