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029:2006年度 第9回 2007年3月24日開催

モバイル・ユビキタス技術と学習環境:BEAT3年間の研究を総括する
To the next BEAT 次の3年間に向けて

5.1. この3年間のまとめ

To the next BEAT 次の3年間に向けて 3年間前から、モバイル・ユビキタス技術を活用した研究・開発を行ってきた。しかし、ここで必ず問題となるのは「それはPCでもできるのでは?」ということである。そこで色々と試行錯誤した結果、3年目になってやっと形が見えてきたと感じている。
モバイル・ユビキタス技術を活用する最大の理由は、学習者の状況から学びの環境を構成し、「今・ここで」必要なものを提供することである。今までの教育コンテンツは「これがベストです」という形で提供され、「これでわからないならわからない方が悪い」という態度であった。それではダメで、学習者ひとりひとりの環境があり、それに合わせた学びの環境をフレキシブルに構成できるのがモバイル・ユビキタス技術だと考えている。 モバイル・ユビキタス技術というと、「いつでもどこでも学習ができる」と思われがちであるが、これは「いつでもどこでも学習しない」と同義である。そうではなくて、「いま、ここで必要なもの」を実現できるのがモバイル・ユビキタス技術である。これに気がつくのに2年か3年はかかった。

5.2. 今後3年の研究トレンド

  • コンテキスト・テクノロジー
    学習者が携帯電話でのクイズに間違えたから、正解に関する情報を送るということは可能であるが、少ない情報から学習者の状況を知ることは難しい。ソーシャルフィルタリングでパターンを抽出して、学習者の状況を高い精度で予測するテクノロジー、コンテキスト・テクノロジーが必要である。
  • コンテンツの動的生成
    コンテンツを開発者が頭付き合わせて開発をするという状況は、今後も続くと思われるが、それほどストーリー性が必要ないものについては、文脈に応じてコンテンツを動的に生成・提示することができる。またWeb 2.0的にユーザが作ったコンテンツもある。生成したもの、ユーザが作成したもの、プロが作成したもの、過去のものこれら全てを必要に応じて学習者に提示していくテクノロジーが必要である。
  • デジタル・ポートフォリオ
    これから生まれてくる子どもたちが作成する情報は、デジタルデータが占める割合が大きくなる。写真、ビデオ、学習記録などである。人間に関するあらゆる情報がデジタル化されると、大量・長期間の学習履歴情報が存在する。これはかつて無かった事態である。このような情報を活用すべきである。

5.3. BEAT“2.0”へ向けて

以上のような状況をふまえて、BEATでは「学習者の状況に動的に応答する学習環境」を提案していきたいと考える。
学習をしていく上で、わからないとき、迷ったとき、夢を持ったときに、状況に応じた適切なナビゲーション、ひとりひとりにフィットした動的コンテンツの提供、学びの歴史と学習コミュニティへの接続を実現したい。
そこで、動的に応答する学習環境を提供するには3層のレイヤーが必要である。

  1. インタフェース 「モバイル・ユビキタス技術」
    「いま・ここ」で必要な文脈情報を取り出す
  2. エンジン 「データマイニング技術」
    インタラクションから得られた情報と、大人数・長期間の学習履歴情報から、応答方針を決定
  3. コンテンツ 「メタデータ・モジュール化」
    エンジンに求められ得た応答方針に基づき、適切なコンテンツの動的生成・コミュニティへの接続

5.4. 情報学環・福武ホール

To the next BEAT 次の3年間に向けて 2008年2月にBEATは、ベネッセの福武会長からご寄附をいただいて建設中の福武ホールに拠点を移動する。中には「福武ラーニングラボ」、「福武ラーニングスタジオ」、「福武ラーニングシアター」が設置され、ラボでは研究活動を、スタジオではワークショップを、シアターではBEAT Seminarを行うことになる。

5.5. 最後に

最後にBEATが所定の成果を上げて、次期3年間につなげることができたのは、ここにいらっしゃる皆様のおかげです。今後3年間もがんばっていきたいのでどうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

今回は2006年度の成果報告とともに、BEAT第1期最後のセミナーとなりました。今回の報告にあったプロジェクトは、いずれもBEAT第2期のビジョンの実現を予感させるもので、今後3年間への期待が高まりました。BEATセミナーは今後、3ヶ月に1回になりますが、より密度の高いものになると思います。どうぞ今後ともご期待ください。

テーマ

モバイル・ユビキタス技術と学習環境
:BEAT3年間の研究を総括する

日時
2007年3月24日(土)
午後1時より午後5時まで
場所
東京大学 弥生キャンパス
一条ホール(弥生講堂内)
内容
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)では、携帯電話などのモバイル・ユビキタス技術と学習と結びつけ、新しい利用法を探るプロジェクト研究を展開してきました。

このたび、BEATの3年にわたる研究をご理解いただくことを目的として、研究成果報告会を3月24日(土)に開催いたします。

特に、2006年度に展開されたプロジェクト「なりきりEnglish!」と「学習ナビ」については、この成果報告会で初めて研究成果を公開いたします。

年度末ご多用の折とは存じますが、ぜひご予定に加えていただき、ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

-------------【プログラムのハイライト】-------------

●「おやこ de 食育」プロジェクト成果報告●
総務省ユビキタスラーニング推進協議会の実証実験として、イオン北戸田店で実施された携帯電話を用いた「おやこ de 食育」プロジェクトについて報告します。

●「なりきりEnglish!」プロジェクト成果報告●
社会人が英語を利用する文脈にあわせたモバイル英語学習教材「なりきりEnglish!」の開発と試行実験について報告します。
(東京大学、ベネッセコーポレーション、スパイスワークスの共同研究)

●「学習ナビ」プロジェクト成果報告●
学習者にとって最も適切な「学習の方法」を提案する高校生向けウェブサービス「学習ナビ」の開発と試行実験について報告します。
(東京大学とベネッセコーポレーションの共同研究)
プログラム
1.BEAT3年間の活動
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内祐平

2.「おやこ de 食育」プロジェクト成果報告
 NTTドコモ 川上太一
 BEATコーディネータ/ベネッセコーポレーション 和気竜也
 BEATコーディネータ/ベネッセコーポレーション 中野真依

3.「なりきりEnglish」プロジェクト成果報告
 BEATフェロー/東京大学助教授 中原 淳
 BEAT 客員助手 山田政寛
 国際交流基金 島田徳子
 BEAT アソシエイツ 北村 智

4.「学習ナビ」プロジェクト成果報告
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内祐平
 BEAT 客員助手 松河秀哉
 BEAT アソシエイツ 北村 智
 ベネッセコーポレーション 宮下直子

5.フロアディスカッション&質疑応答

6.NEXT BEAT-次の3年間に向けて
 BEATフェロー/東京大学助教授 山内祐平
定員
定員200名
参加費
無料

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