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Beating 第16号
「5分でわかる学習理論講座」
第5回:実践を通した学習のなかで知識を獲得する〜「認知的徒弟制」

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  東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」  
  メールマガジン「Beating」第16号     2005年9月22日発行  
                        現在登録者704名  
  「5分でわかる学習理論講座」第5回:
    実践を通した学習のなかで知識を獲得する〜「認知的徒弟制」   
           http://www.beatiii.jp/            
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みなさんこんにちは。
朝晩は涼しくなり、過ごしやすくなってきましたね。大汗かいて目が覚める
日々にもさよならです。そう考えると、ちょっと名残惜しいような。

さて、今月もまた特別セミナーを開催します。10月1日(土)に「ヨーロッ
パ・モバイル放送の現状と教育利用の展望」をテーマに行います。詳細は本
文をご覧ください。みなさんのご参加をお待ちしております!

では、Beating第16号のスタートです!

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┃★CONTENTS★
┃■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
┃     実践を通した学習のなかで知識を獲得する〜「認知的徒弟制」
┃
┃■2. 【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」2005年度第7回:
┃   BEAT 特別セミナー「ヨーロッパ・モバイル放送の現状と
┃                         教育利用の展望」
┃                         10/1(土)開催!
┃
┃■3. 「BEAT研究 Who's Who」
┃       〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
┃
┃■4. 編集後記
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■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
  第5回:実践を通した学習のなかで知識を獲得する〜「認知的徒弟制」
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今年度のBeatingでは、BEATの研究をより理解していただくために、背景と
なっているさまざまな学習に関する理論を、1年間でみなさんとともに学ぶ
ことを目的とした「5分でわかる学習理論講座」を開講しています。

1カ月にひとつずつすぐに応用可能な理論・方法を中心に、情報技術を用い
た学習環境に関する注目理論・キーワードについて解説していきます。
「なにそれ?ハツミミ?」という方も、「なんか聞いたことはあるけど…」
という方も、「すでに知ってるゾ!」という方も、それぞれにきっと新し
い発見があるはずです。

さて本講座も第5回を迎えました。前回からは第3回までにまとめた学習観が、 
具体的な事例にどのようにいかされているのかに焦点をあてています。とい
っても、まだまだ概念的な説明なのが悩ましいところ。でも、この基礎概念
の理解は、いろいろな物事に展開するときに非常に役立つものです。プロス
ポーツ選手が、基礎体力が重要だと常々言っているように。

前回の「実践共同体」では、仕事や日常生活で行われる学習のプロセスに着
目しました。今回は、そのような学習のプロセスを、一般的には学習のメイ
ンステージとして捉えられている、学校での営みと比較して、考えていきた
いと思います。「認知的徒弟制」さてどのようなものでしょうか?


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実践を通した学習のなかで知識を獲得する〜「認知的徒弟制」

「学校での勉強は役に立たない」

こんなフレーズをみなさん一度は耳にしたことがあると思います。みなさん
はこれについてどう思いますか?

「たしかにそういう側面があるかなあ」
「いや、学校の勉強だって意味があるじゃないか」

おそらく賛否両論あると思います。ここでどちらが正しいという議論はしな
いのですが、こういったことが一定の説得力を持っているのにはどういった
背景があるのでしょうか。

今回ご紹介する認知的徒弟制は、これと密接に関連しています。「認知的徒
弟制」とは、学習理論講座の第4回に紹介した「社会構成主義」の概念をも
とにした教育の方法です。

「学習を社会的営みとして捉えなおす」ということが、社会構成主義のポイ
ントであったことから、「認知的徒弟制」も、学習を社会や文化との関わり
からおこなうという仕組みになっています。具体的には、伝統的な徒弟制に
みられる、見習いの修行過程をモデルとした学習方法です。

「なぜそういった学習方法が注目されるのか」、「なぜ学校の勉強が社会で
役に立たないといわれるのか」こういったことと絡めながら、「認知的徒弟
制」について説明していきたいと思います。

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●道具と知識の関係

「認知的徒弟制」を説明する前に、まずはそれを支える知識観についてお話
をしたいと思います。

さきほどの「学校での勉強が社会で役に立たない」というフレーズの中には、
おそらくさまざまな意味が含まれているでしょう。そのなかで、今回紹介す
る「認知的徒弟制」にもっとも関係した解釈をすると、

「学校で、ある概念的知識を学習した。しかし、それが実際の社会での場面
でつかうことができなった。よって、学校の勉強は社会で役に立たない。」
ということになります。

「知識を理解したのに、それが使えないなんてどういうことなんだ?」

と思う方がいるかもしれません。しかし、「知識」を「道具」と見立てて考
えれば、納得することができると思います。

例えば、古いタイプのポケット・ナイフには馬のひずめから石ころを取るた
めの仕掛けがついているそうです。当然そういったナイフを持っている人は、
その仕掛けがなんのためについているかは知っています。

しかし、その人たちが実際に、足をひきずっている馬に出会ったときに、そ
の仕掛けをつかうことができるかというと必ずしもそうではありません。
この人たちは、その道具を持っているのですが、実際の場面で使うことがで
きないというわけです。

これをもう一度知識の話に戻すと、生徒たちがある公式などを、それを使う
文脈とは切り離された状態で獲得しても、それを使うことができず、不活性
の状態になってしまうということなのです。

では、知識を実際の場面でつかえるようになるには、どうしたらいいでしょ
うか。

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●認知的徒弟制

こういった問題をのりこえる意味で「認知的徒弟制」が注目されます。さき
ほどは、「知識」と「状況」が分離しているために、知識を使うことができ
ないという話でしたが、認知的徒弟制では、職人の見習い修行において顕著
なやり方に類似した方法を用いて、知識を状況にうめこまれた状態で学習を
おこなうというものです。

具体的には、徒弟制のなかの学びを以下の4つの段階としてモデル化したも
のが「認知的徒弟制」といえます。

・徒弟が親方の作業を見て学ぶモデリング(modeling)
・親方が手取り足取り教えるコーチング(coaching)
・徒弟にできることを確認して自立させる
        スキャフォルディング(scaffolding)
・親方が手を退いていくフェーディング(fading)

「認知的徒弟制」に基づいた学習を考えるときに不可欠なのが、活動の「真
正さ」です。真正な活動とは、ごく端的に言えば、ある文化に身を置いた実
践者の活動を指します。

つまり、通常の学校の授業のように高度に抽象化され、脱文脈化されたやり
方ではなく、その道のプロが取り組むようなやり方でやるからこそ、学習者
は徐々にその道を理解し目標に到達することができるのです。

ちょっと難解な用語が多く出てきてしまいましたね。

もっとひらたくいうのであれば、活動の「真正さ」というのは、「ホンモノ
らしさ」ということができると思います。真正な活動とはホンモノらしさが
高い活動のことです。

また、「脱文脈化された状況」というのは、さきほど上で挙げたポケットナ
イフの例でいうならば、実際に馬のひづめの石をとってあげるような状況で
はなく、学校で「こうやって石をとるんですよ」と教わっている場面という
ことができると思います。

つまり、実際にその知識をつかう場面を想起しにくい状況が、「脱文脈化さ
れた状況」といえます。

「認知的徒弟制」では、学習するべきことを、実際の場面に近い形で、ホン
モノらしさが高い実践をおこないながら、その道のプロの考え方や、技術を
学ぶものということができるでしょう。

ポイントなのは、技能だけを学ぶのではなく、「プロの考え方」も学ぶとい
う点です。これが単なる徒弟制でなく、「認知的」とつくゆえんなのです。

こういった徒弟制における学びを学校教育の中で利用したものとして、数学
者であるショーエンフェルドによる数学教育の例があります。

彼は大学生を本物の数学者がやるような数学実践に参加させ、数学的知識だ
けでなく、数学者のものの考え方を身につけさせようとしました。

具体的にはクラスの学生に問題を持ってこさせて、彼自身その問題に一緒に
取り組みました。つまり自らが数学者として数学的実践に従事することでホ
ンモノらしさが高い活動を作りだしたのです。

こうした実践の中では、学生たちは単に問題を解くということにとどまらず、
取り組んだ問題がどのような数学的性質を持っているかを調べたり、問題を
解く上で利用できる一般的な方略を自発的に発見したりするに至りました。

このように、「認知的徒弟制」をモデルとした学習では、生徒たちはその道
のプロがおこなうようなホンモノらしさが高い活動をおこなうことで、うえ
に挙げた4つの段階を体験し、その中で自らも真正の活動をおこなう実践者、
つまり、知識だけでなく、「ものの見方」「考え方」をもった、その分野の
ホンモノの学習者へと成長していくのです。

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●まとめ

今回は「認知的徒弟制」についてご紹介いたしました。「認知的徒弟制」と
は、徒弟制の中にある学びをモデル化したものです。ここでの学習は、知識
を知識として学習するのではなく、実践を通した学習のなかで知識を獲得し
ていきます。

また、「認知的徒弟制」では、状況的に手本を示し、指導し、ヒントを次第
に減らしていくというひとつの教育パラダイムを示唆しています。

今回は冒頭で「学校での勉強は社会で役に立たない」という、教育に関わる
人間からすると、少々耳の痛いお話でスタートしましたが、「認知的徒弟制」
のような、状況と知識をセットにした試みはそういったことを解消するひと
つのヒントといえるかもしれません。

さきほどあげた4つの段階というのを意識しながら、新たな教育実践をおこ
なってみるというのはいかがでしょうか。

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●参考文献

「状況的認知と学習の文化」
『現代思想 特集 教育に何ができるか【状況論的アプローチ】.』
vol.19-6(1991年6月号),P62-87 
ジョン・S・ブラウン,アラン・コリンズ,ポール・ダグイッド(著)
道又爾(訳) 青土社

『状況に埋め込まれた学習』
レイブ,ウェンガー(著)佐伯胖(訳) 産業図書
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4782800843/

(特集記事協力:
 松河秀哉/大阪大学大学教育実践センター教育交流部門 助手
 舘野泰一/青山学院大学文学部教育学科 4年)
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今回は「認知的徒弟制」について取り上げました。これをよく説明するため
に「学校での勉強は役に立たない」というテーゼをやや乱暴に使いました。

でも、思い出してみてください。私たちが自身の経験で知っているように、
学校の勉強だって役に立ったことはいっぱいあります。ただそこにはいろん
な仕掛けがあったことを見逃のがすわけにはいきません。

今回紹介した、ショーエンフェルドによる数学教育の例をはじめ、これまで
に紹介してきた学習観が実際にいかされ、方法化されているものが多くあり
ます。次回はそのひとつとして、「相互教授法」を取り上げます。
お楽しみに。

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ここで、この講座をよりよく理解するための、課題図書ともいうべき一冊
をご紹介しておきます。
———————————————————————————————————
『「未来の学び」をデザインする』
美馬のゆり・山内祐平(著) 東京大学出版会
http://www.utp.or.jp/shelf/200504/053078.html
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特に、巻末の参考文献リストは、これからこの講座で紹介していくさまざ
まな学習理論の参考図書がよくまとまっています。

では、「5分でわかる学習理論講座」次号もどうぞお楽しみに!
ご感想・ご意見もお待ちしております。

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■2.【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」第7回:
  BEAT特別セミナー「ヨーロッパ・モバイル放送の現状と教育利用の展望」
  10/1(土)開催のご案内
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2005年10月1日(土)、「BEAT」では、2005年度第7回目の公開研究会を
開催します!

今年度はこれまで「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」とい
うテーマで公開研究会を行ってきましたが、9月、10月と、知的所有権とモ
バイル放送という今後の教育にとって重要なテーマをとりあげ、特別セミナ
ーを開催いたします。

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■第7回:BEAT特別セミナー
「ヨーロッパ・モバイル放送の現状と教育利用の展望」

韓国ではすでに7万5千人を越えるユーザーが携帯でモバイル放送を利用して
おり、教育放送も視聴できるようになっています。このセミナーでは、モバ
イル放送のもう一つの先進地域であるヨーロッパの現状と教育利用の展望に
ついて、スカンジナビア諸国(デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・
フィンランド)の放送局のスタッフからお話を伺います。

また、ヨーロッパの現状と課題にとどまらず、日本の現状と今後、およびモ
バイル放送の教育利用の有効なモデルについて議論をしていきたいと考えて
います。

●主催:
 東京大学情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座 (BEAT)

●日程:
 10月1日 土曜日 午後2時〜5時

●場所:
 東京大学 武田先端知ホール
http://www.beatiii.jp/images/sem15-map.gif
 (地下鉄千代田線 根津駅 徒歩5分)

●定員
 100名(お早めにお申し込みください)

●参加方法
 参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
 にて、ご登録をお願いいたします。

●参加費
 無料

●プログラム(日英同時通訳がつきます)

【第1部:各国の現状報告】
・デンマークのモバイル放送と教育利用の現状と課題
  Peter Ostergaard Sorensen 氏 (デンマーク放送協会)

・スウェーデンのモバイル放送と教育利用の現状と課題
  Christer Smedberg 氏 (スウェーデン教育テレビ協会)

・日本のモバイル放送と教育利用の現状と課題
  元橋圭哉 氏 (NHK総合企画室)

【第2部:パネルディスカッション 
 モバイル放送の教育利用・そのモデルをさぐる】

司会:
 山内祐平(東京大学情報学環)

パネラー:
 Peter Ostergaard Sorensen 氏(デンマーク放送協会)
 Christer Smedberg 氏(スウェーデン教育テレビ協会)
 元橋圭哉 氏(NHK総合企画室)

指定討論者:
 菊江賢治氏(NHK学校教育番組部)
 Aske Dam 氏(メディアプロデューサー)

※プログラム終了後懇親会がございます。参加ご希望の方は、参加登録の際
に同時にお申し込みください。

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■3. 「BEAT研究 Who's Who」
   〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
  今回は・・・BEATアソシエイツ・
  独立行政法人メディア教育開発センター助手 西森年寿先生
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このコーナーでは、みなさんにぜひ、個性あふれるBEATメンバーたちをよ
く知ってもらいたいと考え、BEATメンバーたちがそれぞれ自己紹介をして
いきます。

BEATメンバーって誰のこと?という方はコチラ:
BEAT Webサイトメンバーページ
http://www.beatiii.jp/members.html

さらに、自己紹介だけでは物足りないぞ、という欲張りなみなさんのために、
普段の研究・興味・関心をベースに、研究を行う際や資料を検索するときに
役立つサイト、または必ず毎日目を通すサイト、情報ネタとして利用してい
るサイトなど、オススメWebサイトを紹介していただきます。

第3回目となる今回は、BEATアソシエイツで独立行政法人メディア教育開発
センター助手の西森年寿先生に、自己紹介とオススメWebサイトをご紹介し
ていただきました。

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●自己紹介

西森年寿(にしもり・としひさ)です。こんにちは。

独立行政法人メディア教育開発センター(NIME)の助手です。NIMEは高等
教育でのメディア活用を推進する機関です。千葉の幕張にあります。

教育工学が専門ですが、指向しているのは「ちょっとだけ違う教育システム
の提案」です。

ソフトやシステムを使うと、知らず知らずのうちに窮屈な行動、限られた発
想を強いられていることがあります。そうした暗黙の制約を見つけ出して、
オルタナティブなシステムを提案することで、少しずつ教育とコンピュータ
の関係を豊かにできればなぁと考えております。

BEATでは、「おやこ de サイエンス」プロジェクトのシステム開発を担当し
ています。ただ「担当」といっても、そこをはみ出した仕事もいろいろする
のがプロジェクトの常ですが。

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●オススメWebサイトのご紹介
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・気になるe-Toy遊んでレポート
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/backno/rensai/e_toy.htm
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コンピュータ系ニュースサイトのチェックは、仕事の気分転換(逃亡)に最
適です。PCに向かったまま仕事の体を保てますし、これは情報収集なんだと
自分にも言い訳がたちます。impressのGAMEWatchのこの連載は特に楽し
みにしているものの一つです。

効能は、話のネタ、昨今の子どもトレンド、おもちゃ屋さんでウンチク、プ
レゼント選びと多々ございますが、優れたおもちゃのアイデアは「ちょっと
だけ違う教育システム」を考える上でも大いに参考になります。

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西森先生ありがとうございました。

●次回の担当者をご紹介します!

次回の担当は、北村さん@東京大学大学院 学際情報学府 修士課程です。

BEATの研究者でひと際若いのが、北村さんです。その鋭い眼光にファンも
多い (はず)です。そして細いのに、びっくりするくらいよく食べます。

「対人コミュニケーションにおけるメディア利用行動の研究」を専門にされ
ているそうですが、具体的にどんなことを研究されているのでしょうか?
いろいろ聞いてみたいと思います。来月もご期待ください。

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■4. 編集後記
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
Beating第16号はいかがでしたでしょうか。

さて、まだまだ昼間は暑さが残っていますが、季節先取りのBeating編集後
記、秋の話題でせめたいと思います。

秋の深まりを意識できる現象として代表的なものは「紅葉」でしょうかね。
今まで緑であった木々の葉が、一斉に燃えるような赤に変化します。それは
なぜか? 科学的には以下のように説明できます。

春から夏の間は、葉の中にある葉緑素が日光を浴びて、でん粉をつくり、
木の幹に養分を送っていました。葉緑素が活性化されている間は、その名の
通り、葉は緑色をしていました。

秋になって陽射しが弱くなり気温が下がると、葉緑素の活動が弱くなりでん
粉をつくる能力が減少します。そうすると、でん粉は木の幹に送られず葉の
中に溜まります。この葉に溜まったでん粉は、日射と気温のバランスによっ
て赤い色素に変化し、葉は赤く変色する、というのが紅葉のしくみです。

自然の劇的な変化も、科学的に説明すればこのような事実だけに要約されて
しまいます。しかし、これだけで私たちの心に深く訴えかけてくるあの圧倒
的な「紅葉」という現象が説明されたとは思えません。

これには、「何を伝えれば、そのことを正確に教えたことになるのか?」
また、「何が伝われば、そのことを正確に理解したことになるのか?」
という、学習や教育に関する大きな問いが含まれているように思います。

涼しくなった秋の夜長に、このような問いに思いを巡らすのはいかが?

BEATの研究活動も、常にこのような根源的な大きな問いに向き合うことを
忘れずに進んでいます。その成果はいち早く、Webでご紹介していきますの
で、そちらのチェックもよろしくお願いします。

では、次号のBeatingもお楽しみに。

                        「Beating」編集担当
                              八重樫 文
                         kazaru@beatiii.jp


-------次回発行は10月第4週頃の予定です。
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端教育技術学講座にて、「Beating」からのお知らせのためだけに使用いた
します。また、ご本人の同意なく、第三者に提供することはございません。

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無断転載をご遠慮いただいておりますので、転載を希望される場合はご連絡
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□ご意見ご感想はコチラ
「Beating」編集担当
八重樫 文
(福山大学 人間文化学部 人間文化学科
 メディアコミュニケーションコース 専任講師)
kazaru@beatiii.jp

□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/

□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」

Copyright(c) 2005. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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